「猫の手も借りたい」の由来は?使い方を紹介【例文あり】

 

「猫の手もかりたい」のことわざは、年配の方々は時々会話のなかで使うことがありますが、最近では使用するケースが少ないようです。

 

日常業務・職場環境・業務内容がIT化され、「猫の手では手助けにならない」ので、使用頻度が激減しているのでしょうか。

 

そもそも、あきらかに助けになりそうもない「猫の手を借りたい」ということわざはなぜできたのか不思議ですよね?

 

「猫の手も借りたい」の意味・由来・使い方を紹介していきます。

 

「猫の手も借りたい」の意味と由来

 

猫1

 

 

ことわざである「猫の手もかりたい」の意味を説明します。非常に忙しく、誰でも構わないから手伝って欲しいことを意味します。

 

ネズミを狩ること以外に何も役にたたない猫でも、その手を借りたいと願うほど忙しいさま」です。

 

「猫の手」は、何事にも対応できる優秀な万能なことを指しません。実際に役立たずでも人数だけ居ればなんとか対処できることを示しています。

 

「猫の手」は「誰でもいい」「役立たずでもいい」の意味を含んでいますので、相手先様に直接話すと大変に失礼になります。

 

ですので、「猫の手を借りる」ということわざは、先輩・上司・管理監督職・お取引先様の目上の方には使用しません。

 

「猫の手もかりたい」は世間話で使用することは問題ありませんが、お手伝いをお願いするときに「猫の手もかりたい」を使用すると失礼になりますので、注意しましょう。

 

例えば、

 

「ご多忙中とは存じますが、現在大忙しで手が足りません。猫の手もかりたい状況なので、宜しければお手伝いをお願いできませんでしょうか?」

 

と一見、相手先様を敬うような表現ですが、「猫の手を」は「誰でもいい」を意味しています。言葉は慎重に選びましょう。

 

手伝い

 

 

支援・応援・手伝いの要請をしているときに「猫の手」を使用するのでしょうか?

 

「猫」は気紛れで自己中心的な性格の動物とされています。飼い主に忠誠を尽くす「犬」とは対照的な動物です。

 

「犬」に命令を出すと対応してくれます。「猫」は命令を出しても対応しないとされています。

 

但し、アニメのサザエさんの「タマ」は人の気持ちが伝わる優秀な「猫」です。サザエさんに登場する「タマ」のような「猫」は希少です。言うことを聞かない「猫」でもいいから助けが必要であることから「猫の手」が用いられたと言われています。

 

次に「猫の手もかりたい」の由来を説明します。

 

江戸時代中期に近松門左衛門作の浄瑠璃(じょうるり:音曲・劇場音楽のこと)「関八州繋馬(かんはっしゅうつなぎうま)」で多忙であることを、

 

「上から下までお目出度と、猫の手もかりたい忙しさ」

 

と書かれた文章が由来とされています。

 

※お目出度:おめでたと読み、おめでたいこと。

 

「猫の手も借りたい」の例文

 

猫②

 

 

「猫の手もかりたい」の使用例を紹介します。

 

【例1】
「先日、新店舗を開店しましたが、雑誌に紹介されて、猫の手も借りたいほど繁盛するようになりました。」

 

雑誌に紹介されたことにより、急に人手不足に至り忙しくて困っている状態を表しています。特定の相手先様ではなく、その他大勢の方に発しています。

 

 

【例2】
「店舗のメニューをかえたら、猫の手も借りたいほど忙しくなりました。閉店をせずに済みました。」

 

前記例1のように忙しいことを表しています。忙しいことを困っている状態よりも、収益が上がりとても嬉しい気持ちを伝える表現になっています。

 

 

【例3】
「おかげさまで猫の手も借りたいほどの忙しさで、嬉しい悲鳴をあげています。」

 

単純に現在繁盛中で大変うれしい状態を説明しましています。

 

「猫の手…」は「誰でもいい」を意味し、自分の忙しさには使いますが、お願いする相手先様に向かって話すことは失礼になることを意識して下さい

 


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「猫の手も借りたい」の同義語

 

猫3

 

「猫の手も借りたい」の同義語を紹介します。

 

「忙しい」「大忙し」「多忙な」「繁忙な」「慌ただしい」「仕事に追われる」「多忙を極める」「きりきり舞いの」「てんてこ舞いの」「目が回るような」「手が回らない」「手いっぱい」「いっぱいいっぱい」「てんやわんや」「テンパっています」のようにとにかく、忙しいさまを表す用語です。

 

また、ことわざでは「盆と正月が一緒に来たよう」があります。

 

意味は、いくつも用事がありとても忙しい、おめでたい出来事がいくつもありとてもおめでたいさまです。

 

最後に

 

「猫の手も借りたい」ということわざは、「ネズミを捕ることしか役に立たない猫の手でもいいので手伝って欲しいくらい非常に忙しい」という意味です。

 

このことわざは、江戸時代中期、近松門左衛門作の劇場音楽に書かれた、「上から下までお目出度と、猫の手もかりたい忙しさ」が由来だといわれています。

 

現代では、若い年齢層および中高年も「忙しくて、猫の手も借りたい」と言いません。

 

使用する時は自分の忙しさに向けて使い、他人に向かって、「猫の手も借りたいくらい忙しいから、手伝って欲しい」と言うと失礼にあたります。

 

「猫の手も借りたい」のことわざを使用する方は、リタイアされた方や昔から営業している店舗の大旦那か大奥様です。

 

現在は、「いっぱいいっぱい」「テンパリ」などの単語を使用して「忙しいさま」を表現しています。

 

ですが、それらの言葉とは違い「猫の手を借りたい」には、忙しいのみでなく喜びが含まれています

 

似たようなことわざの「盆と正月が一緒に来た」にも、忙しさの中に喜びがあります。

 

最近は、忙しさのみを表現する言葉を使用されることが多く、段々と洒落が効いたことわざが風化しているようです。

 

「目が回るような忙しさ」の中で、可愛らしい猫の笑顔(?)を見ると、気持ちが安らぎます。「猫」はマイペースで羨ましい…、などと勝手に想像します。

 

「猫」は仕事の手助けはしてくれませんが、癒しを与えるようです。

 

意味誰でもいいので手伝ってほしいほど忙しい
由来近松門左衛門の「関八繁馬」
類義語のことわざ盆と正月が一緒に来たよう
類義語多忙、繁忙、手が回らない、等
使う相手主に自分の忙しさに対して使う
英語I’m busy as a bee.
(私は蜂のように忙しい)

 

 

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