日本には、昔から使用されている「ことわざ」がたくさんありますよね。
インターネットで検索してみると、掲載されている「ことわざ」の件数が700ほどあります。国語科の先生によると1,000件以上あると言う方もいらっしゃいます。
そんな「ことわざ」ですが、動物や植物を例にしたものが多くあると思いませんか?
今回は「動物」を使用した「ことわざ」の「猫に小判(ねこにこばん)」の意味や使用例を説明していきます。
ことわざ「猫に小判」の意味と使い方
「猫の小判(ねこにこばん)」の意味は、人々にとって大変大きな価値ある小判でも、猫にとっては小判の価値が分からずに無価値であること言います。「猫に小判」は小判が流通した江戸時代から使用が始まったとされています。
人々には大切で貴重な小判でも、猫の視点からはただの遊び道具に過ぎないことです。
とても価値があるものでも、その価値が分からない人に与えても無駄になってしまうことを意味します。
身近にいる動物を例えにしたことわざのひとつです。
また、見方を変えてみると、小判を価値が分かる人々へ与えることは意味があるけど、小判の価値が分からない猫に与えても無駄な消費や意味のない投資になってしまうことを表しています。
「ネズミに小判」「犬に小判」でも良かったのかも知れませんが、江戸時代には「猫」があちらこちらでイタズラをしていたので「ことわざ」の対象になったようです。
「猫に小判」の使用例を紹介します。
【例1】
幼稚園生に有名ブランドのロレックスの時計を身に着けさせた姿を見て「猫に小判」だねと使います。
【例2】
祖父から貰った時計がスイス製の貴重なものであったとは今まで「猫に小判」だったと使います。
【例3】
「あの人は物の価値がまったく分からないにも関わらずに、なんでも欲しがる悪い癖があるから気を付けた方がいいですよ。お金の価値には特にうといので、金銭を与えると『猫に小判』になりますよ」と使います。
「猫に小判」の同義語
「猫に小判」の同義語を紹介します。
「猫に小判」は価値の分からない相手に褒美(ほうび)をお贈りしても無駄であることです。言い換えると、価値の分らない者に価値のあるモノを与える無駄なことを表しています。
前章で説明しましたが、昔からの「ことわざ」には動物を例えにしている文面が多くあります。
「猫に小判」の同義語は「豚に真珠」「馬の耳に念仏」「犬に論語」「豚に念仏」などがあります。前記「ことわざ」で結構使われる「豚に真珠」「馬の耳に念仏」を説明します。
■豚に真珠
モノの価値が分からない者には、どんなに価値があるモノを与えても意味がなく、もったいないことです。
豚に真珠の首飾りを掛けた状態を想像して下さい。まったくもったいない状況です。
女性に「真珠の首飾り」を贈れば喜んでくれます。女性には「真珠の首飾り」の価値がわかります。しかし、男性に「真珠の首飾り」を贈っても喜んでくれません。価値観が異なるので男性に贈ってもムダになってしまいます。
■馬の耳に念仏
人の意見や進言に耳を貸すことなく、何を話しても効果がないことの例えです。価値が分からない者に対して、価値のあるモノを持たせても意味がなく無駄であることを表しています。
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「猫に小判」の対義語
「猫に小判」の対義語を紹介します。
「猫に小判」対義語ですから、価値の分かる者に価値のあるモノを与え大きな効果・成果を得ることになります。
「猫に小判」の対義語は「鬼に金棒」「弁慶に薙刀(なぎなた)」です。
「鬼に金棒」「弁慶になぎなた」を説明します。
■鬼に金棒
強い鬼は武器を持たなかったとしても強いですが、鉄の棒を持たせると一層強くなり立ち向かうことが出来ない様を言います。強者がより良い条件を得て一段と強くなることを表しています。
■弁慶になぎなた
怪力無敵な武蔵坊弁慶が、意とする「なぎなた=反り返った幅の広い長い刀に長い柄をつけた武器」を持つことです。無敵を誇る強者が得意とするモノを手に入れて、何段階も上の強者になる様を言います。
「猫に小判」は価値の分からない者に価値があるモノを与えても無駄になる例えでした。その対義語は、価値の分かる者に価値があるモノを与えるとより強くなる例えです。
最後に
最近は「ことわざ」を使用する場面が少なくなりました。「猫に小判」「豚に真珠」「馬の耳に念仏」「犬に論語」「弁慶になぎなた」のことわざは日常会話では、聞くことがなくなってきました。
ですが、「鬼に金棒」は年配の方々の中には使われる方もいるようです。
例えば「あの〇〇さんが参加してくれれば、鬼に金棒です」は、「あの〇〇さんが参加してくれれば、100人力です」と同じ意味で使用します。