「荼毘(だび)に付(ふ)す」とう言葉はあまり聞くことはないですよね?
初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれませんし、言葉ではわかるけど、漢字だとピンとこない方もいるかもしれません。
「荼毘に付す」はお悔やみのことばで使用されます。
テレビのニュースやワイドショーで「本日〇〇さんが、荼毘に付されました」などとアナウンスしている場面を見聞きしたことはありませんか?
これから「荼毘に付す」の意味やことばの起源、日本で使われるようになった歴史を説明していきます。
「茶毘に付す」の意味
「荼毘に付す(だびにふす)」とは、不幸があり通夜・告別式が終わり、ご遺体を火葬することを言います。火葬してお骨を埋葬するまでのことです。
死亡後の事務手続きと火葬、埋葬までを含めて「荼毘に付す」の流れになります。
荼毘に付すの流れについて紹介していきます。
日本では不幸があった後、24時間以上経過しないと葬儀の許可がでません。
救急車で搬送されて病院で処置をした後、24時間未満に不幸があったとき、ご自宅で不幸があった場合で掛かり付け医がいないときは、変死扱い(事件性の判断)として警察医から「死体検案書」を受領しないと、市区町村役所へ「死亡届」を申請することができません。
警察と協力して、死亡原因を
検査するのが警察医です!
医療機関に入院中に不幸があった場合や自宅で不幸があっても掛かりつけの主治医がいる場合は、医師による死亡診断をしてもらい「死亡診断書」を受領し、市区町村役所へ提出し「死亡届」を申請します。申請が受理されると「火葬許可証」を受領できます。
火葬場は「火葬証明書」が無いと不幸があった故人の火葬ができず、勝手に火葬ができない仕組みになっています。
「火葬証明書」により火葬されたお骨に対して、火葬場から「埋葬証明書」が発行され、この「埋葬証明書」が無いとお墓・納骨堂に安置できません。
ここまでが「荼毘に付す」になります。
「荼毘に付す」の起源
「荼毘(だび)」は「荼毗(だび)」とも書きます。
「荼毗(だび)」はインド・南アジア・東南アジアで使用されている言語のサンスクリット語・パーリ語で「燃やす・火葬」の意味の言葉の発音から取ったと言われています。仏教の経典に使用されている言葉です。
昔、お釈迦様が入滅(にゅうめつ=お亡くなりになったこと)したときに、香木を薪にして火葬をしたことで、仏教では火葬が正式な葬儀のやり方になり、火葬のことを「荼毘に付す」と言われるようになりました。
「荼毘に付す」は仏教用語ですので、仏教徒に用いられる言葉で、他の宗教の方々が火葬をして埋葬しても「荼毘に付す」とは言いません。
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火葬にする意味と日本で火葬することになった歴史
「荼毘に付す」の言葉は、西暦500年頃の仏教伝来と一緒に日本に伝わりました。
日本は火葬の先進国です。アメリカなどのキリスト教徒が多い国では、ご遺体を立派な柩に納めて、神父さんからお悔やみお言葉を賜ってから土葬します。
日本は宗教の自由が憲法で保証されていますので、宗教の選択が自由です。また無宗教でも構いません。ですが、宗教を問わずにご遺体の火葬率は99.9%超と言われています。
ご遺体は明治時代の初期までは、ご遺体を傷つけること・焼却することは罪深いこととされていました。そのため、ご遺体は土葬が主流でした。
しかし、ご遺体を火葬にして埋葬するためには多くの燃料とお骨に至るまで時間を要したため、火葬率は10%程度でした。
その後、第2次世界大戦で敗北してからは、ご遺体を埋葬する「墓地・埋葬等に関する法律」が1948年5月に施行されました。
目的は「墓地・納骨堂又は火葬場の管理・運営が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われること」とされました。
この法律では「ご遺体は火葬にして埋葬する」と明記されていませんが、都道府県・市区町村の条例で「土葬」は衛生的に制限があることと、埋葬する場所の確保が厳しいため火葬率が99.9%以上になり火葬が当たり前になりました。
最後に
戦後生まれの方々は、ご不幸があったときは「火葬」して「埋葬」するルールが当り前になっています。
故人に対して感謝の気持ちを込めて「最後のお別れ」とは言いますが、「荼毘に付す」とは言わなくなりました。
故人の告別式で葬儀会社の司会者が、「最後のお別れがおわりましたので、これから荼毘に付されます」とは聞きますが、親族・親戚・友人・お付き合いのあった方々の間で「荼毘に付す」という言葉は使わなくなりました。
そのようなこともあり、テレビなどで「荼毘に付す」と聞くと、「初めて聞いた」という方がいてもめずらしくないですよね。