秋になると、松茸を楽しみにしている人も多いですよね。
どうして他のきのこは年中スーパーで売っているのに、松茸だけ秋だけなのか不思議に思ったことはありませんか?
また、他のきのこは手頃な値段なのに、いくら秋にしか出回らないといっても「松茸は高すぎる!」と思ったりしませんか?
私も松茸が大好きなのですが、毎年気になるのが値段です^^;
松茸が高い理由についてなど、松茸の疑問についてまとめました。
松茸が高級食材になった理由は、
私達の生活と関係があるのです!
美味しい松茸の意外な原産国
「香り松茸、味しめじ」のことわざをよく見聞きしますよね。
茸(きのこ)の中で、松茸の香りはとても良い香りで、味はしめじ(本しめじ)が美味しいという意味です。
松茸(まつたけ)は、秋になると赤松林に自生します。近年は国産松茸の価格は非常に高価になり、有名百科店の食品売り場では、兵庫県丹波産が6桁の価格で販売されています。
一般庶民は、高級品になってしまった国産の松茸を食べることができなくなりました。
数年前までは中華人民共和国産が市場に多く出回っていましたが、高濃度な農薬の使用・違法採取・商品偽装が世間に知られて、市場に出ることはなくなりました。
そこで、大韓民国産・アメリカ合衆国産・カナダ連邦産・メキシコ合衆国産が輸入されるようになって店頭に並ぶようになりました。
北米大陸は広大ですので、収穫量が多く、市場価格も安定しており1パック1,000円程度で購入できます。
近年は、ブータン王国産・ミャンマー連邦共和国からの輸入が始まっています。
東アジア産の松茸の評判が良いようです。
特に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)産の松茸は、「香り松茸・味松茸」と称されるほど、高品質と言われています。
国際的な制裁が解除された後には、平和条約を締結して輸入される時を待ちましょう。そうなると高品質・低価格の松茸を入手できるようになるでしょう。
外国産の松茸は輸入する際に、香りが落ちてしまう規則があります。
植物防疫法により、輸入する時に松茸に付着している土を落とすことが義務付けられているからです。松茸に付着した土を払うと、香りが著しく低下するためです。
輸入した松茸を使ったおすすめの料理
輸入した松茸は、松茸の香りが落ちていますので、土瓶蒸しなど松茸の風味そのものを味わう料理には向きませんが、炊き込みご飯にすると美味しいです。
料亭風の美味しい炊き込みご飯のレシピを紹介します。
■材料
米:2合
松茸:1~2本
油揚:正方形2枚(約30g)
冷凍枝豆:10個ほど
水:2合分
■調味料
醤油:大さじ2
酒:大さじ2
みりん:大さじ1
和風だし:小さじ2
■作り方
1.お米を研ぎざるにあげる
2.沸騰したお湯に油揚げをさっと通してキッチンペーパーで押さえるて5mm幅にカットする
3.キッチンペーパーで松茸の汚れを取り、3mmにスライスする
4.枝豆の両端をハサミでカット
5.炊飯釜へ、1の米、水、調味料、松茸、枝豆の順番で入れて1時間浸水させて炊く
6.炊き上がったら5分ほど蒸らして、しゃもじで空気を入れるようにしてかき混ぜる
枝豆を隠し味に入れることで、国産松茸のような風味豊かな炊き込みご飯を堪能できます。
それは、松茸の風味を生み出す「マツタケオール」と言う不飽和アルコール成分が枝豆に含有されているので、輸入した松茸と一緒に炊き込むことで風味豊かな炊き込みご飯を楽しめます。
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エセ松茸の3大偽物キノコ
国産の松茸は高価で入手が厳しくなっています。そこで類似品を松茸加工品として販売する悪徳業者もあるようです。
マツタケモドキ・バカマツタケ・ニセマツタケが3大偽松茸と言われています。本物の国産松茸と比較すると香りが薄いです。
しかし毒茸ではありませんので、食べでも大丈夫です。
炊き込みご飯・煮物・佃煮に加工されていると松茸だと信じていまいます。
平成27年(3年前)から食品表示法が強化されていますので、商品裏面の原材料欄に虚偽表示をすると3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科されるようになっています。
参考資料:消費者庁 食品表示法 説明資料
松茸が昔は安かった理由
現代では、一般市民には、「鰻の蒲焼」「松茸の土瓶蒸し」は縁遠い食材になりました。
その中でも国産の松茸は最高級食材と言われています。昔は「椎茸」が「松茸」よりも高価だった時代があったようです。
その理由ですが、文明の発達と関係があったのです。
松茸の生息域は痩せた土地で育ちます。松茸は赤松(松科の常緑針葉樹)の木の根元に自然生息する茸です。
松茸以外に茸類の発育には、落枝・落葉が堆積して出来上がった栄養を含む腐葉土が適しています。
しかし、松茸はへそ曲がりなので、腐葉土が無く栄養素が無い痩せた土壌で良く生育する生態を持っています。
腐葉土が無い痩せた土壌では、森林の保守が不要なため赤松林には用事がありませんでした。そのため菌床栽培で収穫された「椎茸」が高価で取引されました。
昔の松茸は安く購入できたようですが、世の中が便利になることで価格の異変が生じました。そのきっかけはプロパンガスの普及でした。
ガスが人々に普及する前は、かまどで煮炊きする燃料(枯木・柴・倒木)を採取するため、山中へ燃料になる薪を拾いに行く生活をしていました。
人々が山中を歩行することで、落枝・落葉が堆積せずに栄養素の無い痩せた土壌が保たれていました。
便利なガスが普及することで、山中に燃料(枯木・柴・倒木)を採取しに行くことが無くなりました。
その結果、山中は落枝・落葉が高く積り、栄養素の高い腐葉土に移行していきました。
栄養素の高い腐葉土は松茸の生育に適しません。
自然発生する松茸が減少し、価格が高くなり、結果的に庶民の口に入りにくい高価な茸になったのです。
松茸はなぜ人工栽培できないのか?
しいたけ・しめじ・まいたけ・えのきたけは、人工栽培技術が進歩してします。食料品店・スーパーマーケットでは、1パック100円程度で販売されていますよね。
ですが、松茸だけは人工栽培技術がありません。赤松林で痩せた土壌で生育する環境を人工的に創り出せないのです。
その理由は2つあります。
◆理由1
松茸は、「菌根菌」のきのこだから。
「菌根菌」は土壌中の糸状菌が、植物の根・表面・内部に着生した菌。その理論が判明していても実際のメカニズムは解明されていない。
◆理由2
松茸の生態がよく分からないから。
自然育成した松茸を採取すると、翌年にも同じ場所から自然育成されると言われているが、どのように翌年に引き継がれていくのか、生育条件がはっきりと解明されていない。
フランス料理のトリュフ・イタリア料理のボルチーノ茸も松茸同様に人工栽培ができないため、高価で取引されています。今後の研究と技術革新を期待しましょう。
最後に
IT技術・人工知能(AI)技術は飛躍的に進化していますが、日本国内では「鰻」の完全養殖と「松茸」の人工栽培の技術が進んでいません。
「松茸」は輸出してくれる国があるので、私たち庶民も楽しむことができます。
ですが、今後もずっと輸入元の国で収穫されて日本へ輸出してくれるのかはわかりません。
人工栽培ができるようになると、価格が下がって手頃に食べられるようになるかもしれませんね。