あまり日常会話では使用されないようですが「いぶし銀」という言葉があります。
どういう時に使うのでしょうか?
「いぶし銀」は人に対して使われますが、目立って活躍する方、華やかに活躍する方のことは「いぶし銀」の方とは呼びません。
実力をさりげなくこなす方に使います。
これから「いぶし銀」という言葉の由来・意味・使用例を説明していきます。
いぶし銀の由来
「いぶし銀」の由来は、いぶしを掛けた銀のことで、くすんで渋みのある銀色からきています。
「いぶす」とは、金・銀の金属に硫黄(いおう)などのすすをかけて、表面をくすんで黒っぽく渋みのある色にすることです。
銀製品は手入れをしないと黒ずんできますが、きちんと手入れをすれば独特の色つやが出てきます。
いぶし銀の人ってどんな人?
「いぶし銀」の方はどのようなタイプなのでしょうか?
華やかさはないが実力・スキルがある方の例えです。銀にいぶすと艶や輝きが失われますが、その結果味わいのある深いグレーになることから「いぶし銀」と呼ばれるようになりました。
「ベテラン」「渋さ」「縁の下の力持ち」のタイプで、渋くて味わいがある方のことです。
長年の経験・スキルを積み重ねた渋みのある技術を持つ方を評価するときに使われるようになりました。
どのようなタイプなのか特徴をあげて補足していきます。
・自己演出・自己アピールが上手ではない
・自分自身の仕事に誇りを持っているが自慢しない
・ひけらかさない
・負けず嫌いだけど顔に出さない方
≪目立たない方≫
「いぶし銀」の方の特徴は評価が高位にもかかわらず目立つことを好まないが、知る人ぞ知るタイプの方です。一般的に職人気質な方が多く、華やかさはないが本物が分かる方々に支持されるタイプの方を「いぶし銀」と呼びます。
≪自己演出・自己アピールが上手ではない方≫
その道の実力・スキルを十分持っていて、アピールすれば高い評価をもらうことができる方です。しかし、人前に出るタイプではなく縁の下の力持ちであるタイプの方を「いぶし銀」と呼びます。
≪自分自身の仕事に誇りを持っているが、自慢しない方≫
仕事の完成度が気に入らないモノは売り物にしないなど頑固なこだわりを持つ方です。自分自身の仕事にこだわりがあるため、自分自身に厳しく納得できないモノは人様の目に触れさせない気質の方を「いぶし銀」と言います。単純に頑固で偏屈な職人気質とは異なります。
≪ひけらかさない方(自己主張しない)≫
実力・スキルを人一倍持っていても自分自身を実力以上に見ることはしないのですが、自己主張・自己アピールをしなくても周囲の方々が認める方です。無意味に自分自身をひけらかすことをせず、慎み深い方を「いぶし銀」と言います。
≪負けず嫌いだけど顔に出さない方≫
自分自身が得意な分野・業界では誰にも負けたくない姿勢と、誰にも負けない自負を持つ方です。芯が強固で自分自身の物差しを持っていて自身が信じる進む道へひたすら進み続けるタイプです。自分自身を強く信じることができる強い方を「いぶし銀」と言います。
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いぶし銀と言われる野球選手は誰?いぶし銀と言われる理由
あまり聞かなくなった「いぶし銀」ですが、プロ野球では、「いぶし銀」と呼ばれる選手がいます。
「いぶし銀だね」と言われるの野球選手とはどのようなタイプの選手なのでしょか?
「いぶし銀」と言われる野球選手は「守備の名手」「犠打の名手」タイプの方です。
「守備の名手」は2塁手(セカンド)・遊撃手(ショート)を守る選手に当てはまる方が多くいます。
「犠打の名手」が犠牲フライを打つ・送りバントをする・ヒットエンドランの成功率が高い・盗塁の名手が多く、2番・7番・8番打者の選手に当てはまる方が多いです。
「いぶし銀」の選手は10年以上の経験を持ち、派手さはありませんがチームにかかせない選手です。
ここぞというシーンで頼りになるベテラン選手で、バレーボールで例えると、スパイカーは花形で、セッター・リベロの選手は地味で目立ちませんが、チームにかかせないポジションです。
日本のプロ野球では、相手の投手に対してしぶとくねばる(カウント3ボール/2ストライクでも好機がくるまでファールボールで勝負を先延ばしします)・ねばった結果、渋い内野安打を打つ・難しい打球を捕球する・安打になる打球に対してファインプレイをしてピンチを救い、あきらめずに全力でプレイをする選手を「いぶし銀」の選手と呼ばれています。
プロ野球選手で名前を挙げると、
川相昌弘さん(読売ジャイアンツの内野手)
宮本慎也さん(東京ヤクルトスワローズの内野手)
土橋勝征さん(東京ヤクルトスワローズの内野手)
井端弘和さん(中日ドラコンズの内野手)
が「いぶし銀」の選手と言われました。
皆さんは守備力に卓越した選手に贈られる「三井ゴールデングラブ賞」を何度も受賞されています。
いぶし銀の使い方と例文
実際にどのように使うのか例文をあげてみます。
≪プロスポーツのケース≫
「〇〇選手は1番・2番の打順が多く、小技が得意としたいぶし銀の活躍をしています」
「世界選手権で全日本チームを牽引しながら、チームの窮地を救ういぶし銀の活躍をしました」
≪俳優さん・女優さんのケース≫
「日本の映画やテレビドラマで主にいぶし銀の芝居で活躍しています」「〇〇さんのナレーションは声の歯切れが良く、いぶし銀の渋みがありながら上品な印象を与えています」
≪木工職人・金属加工のケース≫
「指物師の〇〇さんの作品は、見るだけで満足するいぶし銀の仕事です」
「△△さんの旋盤加工技術は、真似ができないいぶし銀の技です」
≪将棋囲碁チェス麻雀のプロのケース≫
「全日本プロトーナメントで3連覇し、第99期〇〇戦では「いぶし銀」の●●さんから王座を奪取しました」
いかがでしょうか?どの世界にも「いぶし銀」と評価される方はいらっしゃいます。
最後に
「いぶし銀」はベテラン・プロ野球選手に対して良く使われるようです。
似た言葉には「ベテランの味」「匠の技」があります。長年業界に携わり「渋さ」「縁の下の力持ち」の言葉と同様に使用します。昔から使用されている「いぶし銀」に方に会ってみたいものです。
「表面的に地味な人ですが、魅力や実力を秘め隠している方」「長年努力を積み重ね、人々が大汗をかきながた四苦八苦することを簡単に成し遂げる方」が「いぶし銀」といわれる方々です。