日本がハイパーインフレになる可能性はあるのでしょうか?
その前に、インフレとは何かを説明し、ハイパーインフレとはどのような状態なのか?を踏まえて、ハイパーインフレが日本で起こる可能性について書いていくことにします。
経済オンチでも大丈夫「インフレとは」を簡単に説明
インフレとはインフレーション(inflation)の略称です。物・サービス料の物価が上がることで、特に物・サービス料の価値が実際の通貨価値より高くなります。
例題をあげて説明します。
コーヒー1杯が100円とします。今日は100円で明日も100円、数ヶ月後も100円だとします。
あるときコーヒー1杯5円で販売すると、お客様は長い列をつくりますが、5円での販売は長くは続きません。
また、コーヒー1杯3,000円で販売したら高くて誰も購入しません。値上がりする場合は、長期間コーヒー1杯100円だったのが150円になる、とういう感じですよね。
これらは、「コーヒー1杯の価値が上がった」「コーヒー1杯の価値に価額が下がった」状態です。
「お金の価値が下降し、物の価額が上昇する経済状態」が2年以上続くと、インフレ(インフレーション)と言います。
インフレにハイパーがついた「ハイパーインフレとは」
ハイパーインフレ(ハイパーインフレーション= Hyperinflation)は、急激に進行するインフレのことです。
一般的に物・サービス料の価額が月に50%上昇するとハイパーインフレ状態とされています。
今月はコーヒー1杯100円でした。来月は150円、再来月は225円、半年後は1,150円、1年後は13,200円という具合に異常な上昇をします。
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ハイパーインフレが日本で起こる可能性はあるの?
現在の日本は、世界第3位の経済大国です。ハイパーインフレになる可能性はないと言っていいでしょう。
国家財政は破綻して円の価値が地に落ちることは考えられません。
国家の借金の国債借入額が1,000兆円と桁外れです。ですが、日本は一般の貯蓄が1,700兆円を超えていますので、国家財政が破綻しても日本国は破綻しないでしょう、というわけです。
日本の国家財政は赤字国債頼りです。
ですが、日本国民はそれ以上に資産を保有しているのです。
社会主義体制が資本主義体制に急転換する訳ではありません。もともと資本主義体制の国家です。ハイパーインフレに陥るなど有り得ないと思いませんか。
ハイパーインフレを経験したことがある国
ハイパーインフレになったことがある国はあるのでしょうか?
過去に世界第2位だった大国のソビエト連邦がハイパーインフレを経験しています。
東西冷戦の中でアメリカ合衆国の軍事力に対抗するため巨額な軍事費を拠出した財政赤字の解消は不可能でした。
当時の政権は財政赤字を回復するための改革を断行しましたが失敗し、ソビエト連邦が崩壊したのです。
当時の物価は1年で25倍に跳ね上がりました。
コーヒー1杯100円が、1年後には2,500円になったのです。
1991年から1995年に至るまでに物価が1,000倍になったのでした。
コーヒー1杯で例えると、4年後にコーヒー1杯の価格が100,000円になったことに相当します。
1億円の資産を持っていた人は、10万円の価値に急降下しました。ハイパーインフレは恐ろしい経済状況を引き起こします。
2008年に起きたなジンバブエ共和国(アフリカ大陸の南部)のハイパーインフレは、1兆倍以上跳ね上がりました。
想像できませんよね。
ジンバブエ政府発行の通貨は紙屑になりました。2015年に自国通貨を破棄して、アメリカ合衆国ドル($)・南アフリカランド(R)が法定通貨として流通しています。
ハイパーインフレを日本は過去に経験していた
実は、日本も過去にハイパーインフレを経験していました。
1945年8月に第2次世界大戦の敗北を宣言したわけですが、その1945年(昭和20年)から1950年(昭和25年)の5年間で物価は60倍に跳ね上がりました。
当時はコーヒー1杯の時代ではありませんでしたので、薩摩芋1個100円が5年後には6,000円に跳ね上がりました。
戦前まで使用していた円未満の「銭」制度が廃止され、新通貨発行によるデノミ(通貨単位の変更)により、預金封鎖がされました。
財閥系や大企業の経営者の資産は没収された厳しい時代がありました。その時代の人達は、厳しい環境を乗り越えて現在に至っています。
ハイパーインフレが日本に起きた時の対策
万が一、日本がハイパーインフレに陥った時の事前にできる対策を説明します。
タンス貯金のすすめ
金融機関に3,000万円の預金があるとします。ハイパーインフレになると金融機関は閉鎖され、預貯金を凍結することがあるので、一部または半額をタンス預金にしておくことです。
資産を海外へ移す
海外移住をしたり資産を海外に移すことです。
この対策は事前準備が必要になります。
以下の対応策も事前に実施しなければなりません。
外貨建ての資産を持つ
金融資産への移行、金への転換です。金は安定した金融資産です。
他の国へ不動産投資をしておく
金銭的に余裕があれば、これから発展しそうな国などの不動産物件を購入します。
他国への不動産投資は、一般的には難しいと思いますので、身近で実施可能な対応策は、「金」への転換と外貨建ての金融資産への移行です。
これらは金融機関の資産運用窓口で相談できます。
また、FP資格を保有している専門家に相談することも良いでしょう。あくまでも日本がハイパーインフレになる前の対策です。
最後に
ハイパーインフレに至るケースとして考えられるのは、長期に渡る独裁政権の終焉や戦争で敗戦した時、腐敗した政治が継続して、悪事が表面化した時以外になりえません。
情報公開制度が確立した日本ではハイパーインフレどころか、インフレ状態に至るケース自体がないと思われます。
国会で国費の使徒不明金が見つかり大騒ぎになるでしょう。
公開の義務のない内閣官房機密費など話題・社会ネタになりますが、国会議員または上級官僚が辞職・退官すれば事は収まります。
ましてハイパーインフレに至ることは絶対にないと思うわけです。
また、第2次世界大戦後に先進国が破綻してハイパーインフレになったことはありません。
欧州のギリシャ共和国が国債の格下げで危機を迎えましたが、EUが支援し危機を乗り越えましたし、ハイパーインフレ状況に陥りませんでした。