イゾラド 部族最後のひとり|NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」

一度も文明社会と接触をしたことがない、『イゾラド』と呼ばれる部族がいます。

 

NHKでは、以前にもイゾラドのスペシャル番組を放送したことがありました。

 

今回は、アマゾンの森に住むイゾラドで、30年前にブラジル政府に保護されたアウラと名付けられた男性が主人公、16年間のドキュメンタリーです。

 

NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」の概要

【番組名】NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり
【放送日】2018年12月16日(日)
【放送時間:BS4K】19時00分~ 20時25分
【放送時間:総合】21時10分~22時00分
※放送時間が異なるため若干内容に違いがある
【ディレクター】国分拓
【ナレーション】町田康(芥川賞作家、ミュージシャン)

 

ディレクターは、2009年に放映されて大反響だったNHKスペシャル『ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる』の収録で、現地でヤノマミと150日間共同生活をし密着取材をした国分さんです。

 

ヤノマミの母親は、生まれた赤ん坊を人間として育てるか、精霊として天にかえすのかを選択するわけですが、番組では、天にかえすことを選択した幼い母親が、赤ん坊をシロアリの巣にいれて火をつけるシーンが衝撃的で、反響が大きかったこともあり、劇場版もでき、本も出版されています。

 

 

ディレクターの国分さんがはじめてイゾラドという存在を知ったのは、今回放送された、アウラとアウレでした。

 

文明社会に生きる人たちとの接触で、部族が死滅したイゾラドもおり、あと1、2年でイゾラドは絶滅すると言われています。


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イゾラドの意味

『イゾラド』とは、文明社会と一度も接触したことがない人々のことです。一度でも接触したことがある場合はイゾラドとは呼ばず、元イゾラドと呼ばれています。

 

英語のスペルはisolated、単語の意味は「隔離された」「孤立した」です。


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NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」の番組内容

1987年、アマゾンの開拓民の家に身になにもまとっていない素っ裸の男性二人が森から現れました。

 

ブラジル政府は、今まで保護してきた民族たちの言葉で話かけましたが、どの言語も通じなかったため、二人は『イゾラド』であると判断し、彼らをアウレとアウラと名付けて保護しました。

 

言語、部族名、年齢、出身地が不明で、まさに文明社会と一度も接触したことがない『イゾラド』でした。

 

アマゾン政府は、二人をアマゾンの先住民族の村で同居させたり、隔離施設に入居させたりしましたが、うまくいかず、トラブルを起こしたり、同居先の部族を殺してしまったりと失敗続きでした。

 

保護してから数年間試行錯誤をしてきては失敗つづきでしたが、ブラジルで先住民族の文化研究をしながら、先住民族に言葉やブラジルの文化を教えている言語学者のノルバウ・オリベイラの元で生活をすることになりました。

 

ですが言葉が通じないため、博士は周囲にあるモノを一つひとつ指で差しながら、彼らの単語、約800語を30年かけて理解することに成功しました。

 

ですが、スムーズにコミュニケ―ションがとれるわけではありません。

 

アウラとアウレは二人でしか意志疎通ができず、二人で暮らし、日中は狩りに出かけ、夜は二人で語り合う生活をしていましたが、2012年にアウレが亡くなってしまいました。

 

語る相手もいなくなり、ひとりになってしまったアウラはノウバルに語りはじめます。

 

博士が「母親は?」「父親は?」「女は?」「子供は?」と聞くと、アウラの口からは『死』を意味する単語、「マヌ」「オッキン」「モミイン」などしか出てきません。

 

『死』にまつわる単語以外では、「煙」「大きな音」「火花」「カヌー」など。

 

アウラは自分たちの部族、仲間の『死』について伝えたいことがあるようでした。

 

言葉が通じる唯一の存在がこの世を去り、ひとりで生きていくことになったイゾラドのアウラ。

 

私たちの想像を絶する孤独と向き合いながら生きる一人の人間の物語

 

取材開始の2002年~2018年までの16年間が綴られています。

 

二人に始めて接触した時の音声も残っています。

 

NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」の感想

今までのイゾラドのドキュメンタリー番組では、ディレクターの国分さんが部族と生活を共にした中での映像だったり、イゾラドに接触する内容だったので、強烈なインパクトのシーンもありました。

 

今回の番組では、30年前に突如現れたイゾラド、アウラと名付けられた男性が保護されてからの生活でした。

 

国分さんは、以前のイゾラドの番組の時に、ダイレクトに何かを訴えるのではなくて、視聴者に任せる。と仰っていましたが、今回はまさにそのような内容になっていました。

 

保護された時、ブラジル政府は2人以外にも部族の仲間がいるか探しましたが見つからず、二人はどこに行くにも一緒で、アウレが亡くなるまで寄り添いながら暮らしていた様子が伝わってきました。

 

アウレは常に何かに怯えていたそうで、それはアウレが映し出された動画でも伺え、文明側の人間と接する時、笑顔を作っているのですが、目は笑っていませんでした。

 

アウラも見知らぬ外部の人間にはストレスと感じその場を離れますが、アウレのように怯えている印象は受けませんでした。

 

アウレが痩せていき動けなくなったため、街の病院へ連れて行くことになり、車で6時間の移動中も二人で身を寄せ合い、入院中もマットを床に敷き、二人で寄り添って寝ていたというナレーションを聞き、ずっと寄り添って生きてきたのだろうな、と思いました。

 

大きな病院へ転院したときもアウラは付き添いました。アウレは末期がんでこの世を去ったとき、アウラじっとアウレを見つめていたそうです。この世界でただ一人の仲間を失ったアウラは何を考えていたのでしょうか。

 

言語学者のオイベイラに、「アウレ オッキン」(アウレが死んだ)と言うと、それ以降、アウレのことを語らなくなりました。

 

なぜ二人きりになってしまったのか、言語学者のノルバウ・オイベイラを介して取材を試みますが、外部の人間がいるとストレスを感じてしまうことや800単語しか理解できないため真相を知ることはできませんでした。

 

アウラとアウレは兄弟なのか、どのような関係なのかも不明です。アウレのことを質問しても、アウレの死後から一切アウレについては語らないため、二人の関係を聞き出すこともできませんでした。

 

アウラは突然保護地にある保健所にやってきて、3時間ほど話し続けるのですが、誰も理解することができず、途中まで理解できないけど話を聞く姿勢を見せていた保健所の人達も耳を傾けることもやめてしまいます。

 

話したいことがあるのに、誰にも理解してもらえない、耳を傾けることもやめられてしまうなんて、とても切ないです。

 

言語学者のノルバウ・オイベイラがアウラの単語から推測するには、外部からの人間により部族が亡くなったのではないか、ということでした。

 

実際、二人が出現した地域は、ゴールドラッシュや鉄鋼山ができたり、鉄道が造られたりして開拓が進み、森がどんどんなくなっていき、取材中にかつて二人が住んでいた小屋を訪れようとするシーンがありましたが、採掘業者が進出して道は行き止まり、森は消滅していました。

 

30年前に森から突然現れた時、開拓民の家に現れたわけですが、その夫婦も映像に出ていて、その時の様子を語っていました。

 

ブラジル政府はトラブルが起こるのを避けるため二人を保護したわけですが、開拓民の夫は「これで自分の土地になった」とインタビューに答え、妻は「彼らはお金が欲しかったのよ」と笑顔で答えていました。

 

確かに、突然自宅に先住民が森から現れたら驚くに決まっています。

 

ですが、たった一人の仲間を失い、言葉が通じる人が世の中に一人もいないアウラと開拓民の夫婦がとても対照的な印象を受けました。

 

文明人が森を切り開き森がなくなることで、森に住んでいる動物や原住民の住家が狭くなり、今まで自分たちの生活圏内だった所に行くと、文明人と出くわしてしまったのではないのだろうか、などと頭によりぎりました。

 

私たちは人間関係で悩むこともありますし、ストレスのほとんどは人間関係です。

 

家族内や夫婦でケンカをしたり、一人で過ごせる時があると解放感でいっぱいになることもあります。

 

アウラとアウレのように、どこへ行くにも一緒だなんて、現代人からするとケンカしないの?飽きないの?ずっと一緒なんてイヤだな、と思ってしまいそうですが、私たちは恵まれているからそう思うんだろうな、と思います。

 

彼らは仲間を失い、二人きりで、いつも助け合い、寄り添って生きてきたのだと思います。

 

現代人が忘れていることに気付かされたこと、いつも寄り添って一緒に生きてきた仲間を失ったうえに、言葉が通じる人がこの世にいなくなった人生ってどんなだろう?と想像することもできないことを考えさせられた番組でした。

 

今までのイゾラドの番組でも色々と考えさせられインパクトが大きくて衝撃的な出来事やシーンもありましたが、今回のイゾラドは特別大きなインパクトはありませんでしたが、心に課題を残されたような感じがして、終わり方と映像も訴えかけるものがありました。

 

アウラの伝えたいことが解明できる日がくるとといいなと思いました。

 

また、語り手が町田康さんで、聞きやすかったですし、番組内容にとても合っていると思いました。

NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」の動画

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・NHKスペシャル ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる
・NHKスペシャル 大アマゾン 最後の秘境 第4集 「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」

 

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