「パラレルキャリア」は、高いスキルを多用してビジネス市場で活躍することだと思われている方が多いようですが、それは勘違いです。
オーストリア人の経営学者、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)が提唱した「本業を持ちながら、第2のキャリアを築く」ことを言います。
ピーター・F・ドラッカーが1999年にダイヤモンド社から刊行した「明日を支配するもの」で紹介した、今後の社会での生き方の一例です。
「第2のキャリを築く」際に報酬を得ることを目的にしないことなのです。
仕事以外にも、自分自身のスキルアップ・夢の実現・社会貢献活動全般に活躍することを「パラレルキャリア」といいます。
ですが、年金受給の年齢は引き上げになりそうだし、できれば報酬も欲しい、と思いませんか?
実は、最初はパラレルキャリアの無報酬でスタートしたとしても、報酬に繋がる可能性も期待できます。
本業でのスキルや自分の得意な事を活かせば報酬にもつながることもありますし、副業を認める企業も増えてきたので、そうなると堂々と報酬ももらえますからね。
パラレルキャリアのメリットとデメリット、副業との違いについて紹介していきます。
パラレルキャリアとは?
「パラレルキャリア(parallel career)」とは、現在の仕事以外に仕事を持つこと・非営利活動に参加するライフスタイルのことです。
医学の飛躍的な進歩により人生80年とも100年とも言われていますよね。
会社員の場合は60歳で定年退職してから、20年~40年生活することになります。その期間を「第2の人生」として「パラレルキャリア」が提唱されました。
ですが、「パラレルキャリア」は60歳の定年を迎えてから開始することではありません。20歳代~50歳代でもスタートすることは可能です。
現在の本業のスキル、または前職で長く携わっていたスキルを「第2の人生」で活用します。
「パラレルキャリア」は、近隣の社会福祉協議会・社会福祉法人・NPO法人・任意の支援団体の活動に参加することから始めるケースが多いです。
自分自身のスキルを活用したボランティア活動から始めます。当然のことですが、ボランティア活動に報酬はありません。
パラレルキャリアと副業の違い
「パラレルキャリア」に対して「副業」があります。自分自身のスキルを活かして、本業以外に、報酬を目的にした活動を行うことを「副業」と言いますよね。
自分自身のスキルを就業先・個人事業主業務以外で活用して対価を得ることが可能であれば、スキルの更なる向上とお金がついてきます。
企業に雇用されている正規雇用・非正規雇用の方は、企業の就業規則で「副業」が禁止されていることがあります。発見されたら注意では済まずに懲戒処分を受けることもありますので、事前確認が必要です。
ですが現在では、「働き方改革」法案が可決し、「在宅勤務」「テレワーク」「副業」を認める企業が出始めています。
「パラレルキャリア」はボランティア活動的な要素が多いので、企業に就業規則に違反になりませんが、副業を禁止している企業の場合、「副業」は報酬があるので規則に触れることになります。
これから「働き方改革」法が施行されると「副業」を認める企業が増加すると言われていますので、近い将来には、お勤めの企業も副業を認めるかもしれません。
「パラレルキャリア」「ボランティア活動」「副業」にと多様なライフスタイルの時代になりそうですね。
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パラレルキャリアのデメリットとメリット
パラレルキャリアのデメリットとメリットについてあげていきます。
パラレルキャリアのメリット
まずは、「パラレルキャリア」活動を開始したときのデメリットを紹介します。
■自由な時間がなくる
週末・アフター5に「パラレルキャリア」活動に時間を充てることになります。「パラレルキャリア」活動の習熟度が上昇すると、どちらが本業か線引きが難しくなります。自己管理が大切になります。
■お金が掛かる
「パラレルキャリア」全ての活動に費用がかかることはありませんが、活動内容によっては月間費用を支払うケースがあります。「副業」と異なり報酬をもらうことができません。移動費などの活動費用は自己負担になるケースがあります。
■継続すること
活動が終わると日常生活に戻ります。「パラレルキャリア」活動を数日・週に1回で1ヶ月の短期期間では経験を活かしきることは不可能です。「パラレルキャリア」を継続してスキルアップを目指しましょう。期間目標は1年以上無制限と言われています。
■企業の就業規則に触れる可能性
副業が禁止されている企業では、無報酬でも「パラレルキャリア」を副業とされるケースがあります。「パラレルキャリア」をボランティア活動と認識する企業は良いですが、古い商習慣の企業では勘違いされます。
パラレルキャリアのメリット
「パラレルキャリア」活動を開始したメリットを紹介します。
本業以外に自分自身の活動拠点をつくれる
現在の有効求人倍率は全国平均で1.0を超えています。関東地域は1.5、東京都は2.2とバブル時代を超える売り手市場です。ですが、業種の偏りが顕著で現職のスキル、または前職のスキルとマッチする保証はありません。
「パラレルキャリア」の活動によって、築いた環境を万が一の対応策に役立てることができます。
最近、大企業や大学の経営陣が交代する重大な不祥事が起きていますよね。
好景気であっても企業の信頼が低下すると、事業の縮小・M&A(企業の合併や買収)により現職の保証はありません。そこで早い段階で「パラレルキャリア」活動実績を築いておけば、対応策を迅速に築けます。
■活動のリスクを分散できる
現在の企業は終身雇用制度・年功序列制度が崩壊しつつあります。
個人事業主を除く会社員は、同一企業・同一スキルに身を任せて安心でしょうか?第2のキャリア・第3のキャリアを築いておけば、将来に生活リスクの分散が可能になります。
■人脈が広がる
「パラレルキャリア」活動は現職の人間関係以外に新たなコミュニティに参加することです。「パラレルキャリア」活動実績を積み信頼関係を築くと、豊かな人間関係ができます。人脈はどんな好機をもたらすか未知ですが、可能性が大きいことに間違いありません。
パラレルキャリアの始め方
パラレルキャリアについては分かったけど、どうやって、何から始めたらいいのかピンとこないですよね?
先ほど、NPOやボランティを始めるケースが多い、と書きましたが、他のケースも含めてどのようなことから始める人が多いのか紹介しますね。
- 自分自身の趣味を広げるケース
- 起業する準備を目的に始めるケース
- 社会福祉協議会やNPO法人などでボランティアとして活動する方
が大半を占めています。
稀なケースですが、開始当初の目的は無報酬ですが、報酬が付いてくることもあります。
「パラレルキャリア」が世に出てから20年近くにもなるってご存知でしたか?
最近の「パラレルキャリア」の動向は、生活基盤は本業(会社員・個人事業主)です。
第2のキャリアを、社外活動であっても本業に関係することです。
「パラレルキャリア」を推進して教育経費・教育時間を節減させる企業がありますが、本来の目的は自分自身のスキルアップと環境の構築になります。
最後に
2018年7月に成立した「働き方改革法」によって、制度改正が順次実施されます。
「パラレルキャリア」と「副業」の活動に差がなくなる可能性があります。
現在は「パラレルキャリア」はボランティア活動要素が多いですが、人間関係の人脈を築くことは財産になります。何かあったとき支援してくれる「人財」になることに間違いありません。
また、終身雇用や年功序列が崩壊しつつあることを考えても、パラレルキャリア活動を始めておくことで仕事の面でも新たな活動の場が広がる可能性もありますよ。