毎年11月中旬~12月上旬頃になると、人事担当から、
「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」
「給与所得者の保険料控除申告書」
の用紙が配布され、記入して提出するように依頼がありますよね。
これらの書類は、年末調整を申請するための用紙です。
生命保険相互会社から郵送された「控除証明書」が保険料控除の証拠になります。
年末調整は所得税の過不足を12月分の給与で再計算するものです。
「保険料控除」の対象になる保険の種類と戻ってくる金額について説明していきます。
「年末調整」の「保険料控除」とは何なのか?
年末調整の保険料控除とは何かを説明します。
その年の1月1日~12月31日に保険料を支払った申告をして、支払った保険料が一定の金額を超えると、その年の所得から差し引きされる制度です。
保険料を支払った金額が一定の基準を超えると、その年の課税対象の所得金額から保険料控除額が差し引かれた課税対象額になり、所得税・住民税の負担が軽減されます。
会社員は月給・賞与から所得税を差し引いた支給額が銀行振込されますが、保険料の控除がされていません。
そのため「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」「給与所得者の保険料控除申告書」の申請書で保険料支払額を基に保険料控除額を申請します。
年末調整は、申請した保険料控除額を反映した所得税を再計算する制度です。
調整した結果で所得税の増減が出てきますので、増減額は12月の給与で調整されて支給されます。
年末調整の保険料控除の対象になる保険の種類
年末調整の保険料控除の対象になる保険の種類を説明します。
一般生命保険とは、生存または死亡に基因した一定額の保険金、その他給付金を支払うことを約束した保険のこと。
介護医療保険とは、医療保険・医療費用保険・癌保険・介護保障保険・介護費用保険などを契約した保険。
入院・通院などによって給付される保険契約・医療特約契約保険が対象。
個人年金保険とは、個人年金保険料税制適格特約付いた個人年金保険契約の保険。
老後の生活資金のための生命保険の一種で、公的年金の支給開始年齢が引き上げられるため、退職年齢から年金支給開始までに必要な生活費を準備するために加入したり、公的年金で生活費が不足するので不足分を準備するケースで契約する保険。
地震保険とは、自分自身または自分自身と生計をともにする配偶者・親族が所有する住居用家屋・生活用動産が補償対象となる保険。
損害保険の一種で、地震・火山噴火・津波による災害で発生した損失を補償してもらえる。
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年末調整の保険料控除が戻ってくる金額
年末調整で保険料控除をした場合、戻ってくる金額はどのくらいなのか気になりますよね。
年末調整した会社員への所得税還付は、国・都道府県・市区町村から振込されることはありません。
12月の給与支払額に調整した金額が反映されます。
年末調整した結果、所得税の還付がある場合は、給与明細書の所得税額欄がマイナス表記され、支払われる給与が増えます。
所得税の還付がなくて納税が必要な場合は、給与明細書の所得税額欄がプラス表記され、支払われる給与が減額される仕組みです。
年末調整でありがち!?よくある勘違いとは!
よく勘違いされる方がいるので説明しておきます。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」「給与所得者の保険料控除申告書」に記載した保険料控除額がそのまま還付されると勘違いされる方がいるのですが、そのようなことはありません。
戻ってくる金額は、課税対象金額から保険料控除額が減算された額です。
例えば、一般生命保険控除額が40,000円と記入したときは、40,000円が還付されることではありません。
平均的な会社員の税率は10%なので、40,000円✖10%=4,000円が還付金額になります。
一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険にそれぞれ加入していて、保険料支払額が一定額を超えると控除額が40,000円✖3種=120,000円になります。
その10%が還付されますので12,000円が減税されます。
また、地震保険の控除最高額は50,000円ですので、10%を乗算すると還付金額は5,000円となります。月掛の保険料が20,000円のときは、年間240,000円支払うことになりますが、還付金は5,000円と僅かです。
最後に
昔の保険料控除は「生命保険」と「個人年金」の2種類だけで、それぞれ年間の保険料支払額が10万円を超えると控除額が5万と簡単でした。
2012年から控除制度が改正されて、保険料支払額が10万円を超えると控除額が4万円(各保険料で4万円)に減額されました。
これは、実質的な増税です。気が付かないところで細かく巧妙に増税されています。
還付される可能性がありますので、会社員・パートタイム・アルバイトなどの給与支給の方は、保険控除を忘れずに記載して申請しましょう。
記載対象になる保険控除は以下のとおりです。
- 一般生命保険控除
- 介護医療保険控除
- 個人年金保険控除
- 地震保険料控除
人事に提出する際に、生命保険相互会社から郵送される「控除証明書」も一緒に添付します。