星を追う子どもは、大ヒットアニメ映画『君の名は。』の監督、新海誠さんの作品です。今までと絵の雰囲気も違うと一部のファンにはあまり評判はよくありませんでしたが、映像も美しく、内容もとても深い意味を持つ映画です。星を追う子どものあらすじやネタバレを紹介していきます。
星を追う子どもの公開日など
出典:https://www.cwfilms.jp/hoshi-o-kodomo/
監督・脚本:新海 誠
公開日:2011年5月
漫画:あり
星を追う子どもより前の作品では、新海監督作品は近未来っぽい印象がありましたが、星を追う子どもは絵のタッチも作風もちがいます。
主に30代のファンが多かった新海作品でしたが、子供やアニメを見ない大人にも見てもらえる作品を作りたいということで、絵のタッチは昭和の時代の子供向け定番アニメだった、「世界名作劇場」(毎週日曜日の19:30~20:00)をお手本にしたそうです。
星を追う子どもの原作は?
物語のアイデアは、児童文学作家、乙骨淑子さんの作品、『ピラミッド帽子よ、さようなら』がベースになっていて、新海監督が子供の頃に読んだ時に印象に残っていたそうです。
『ピラミッド帽子よ、さようなら』は人が住んでいないはずの団地の一室に灯りがついていることに気付いた中学生の男の子に不思議なことが次々と起こり、世界のナゾを解明するために冒険を始めるストーリーです。不思議な女の子との出会いもあります。
作者の乙骨さんが病を抱えながら書いた作品で、1980年に51歳で亡くなったため未完で終わっています。
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星を追う子どもはジブリのパクリではない
今までの作風とちがうことに加えて、ジブリに似ている、パクリじゃないの!?という声が多い作品ですが、新海監督自身、
星を追う子どもではジブリ作品を連想させる部分が確かにあると思うのですが、ある程度自覚的にやっているという部分もあります。
出典:https://www.anikore.jp/features/shinkai_2_6/
と答えています。
一部の登場人物の外見などが似ていたりはしますが、設定や役割もちがうし、ジブリ作品も好きでよく観ていますが、内容はジブリ作品とかぶっているとは思えません。
たとえば、星を追う子どもにミミという子猫が登場しますが、風の谷のナウシカのテトに似ている、という声があります。確かに、小さな子猫で主人公の女の子の肩にちょこんと乗っているシーンなどから似ていると思いがちですが、子猫の役割はまったくちがいます。
ということで、映像だけ見ているとジブリのパクリかも!?と思いそうですが、まったく違う作品です。
星を追う子どもの登場人物
星を追う子どもの主な登場人物について紹介していきます。
■アスナ(渡瀬明日菜)
小学校6年生
幼い頃に父を亡くしている
看護士の母と二人暮らし
委員長も務めて成績優秀
友達が少ない(作ろうとしない)
父親がアガルタ人
母親は地上人
■シュン
アガルタ(地下都市)から来た少年
見たいものと会いたい人に会うために地上へやってきた
病で長く生きられない
幼少の頃に両親を亡くす
■シン
シュンの弟
兄が心の支え
■ミミ
アスナになついているネコ
■森崎先生
臨時にアスナの学校に赴任してきた先生
海外で兵士をしていた過去がある
10年前に最愛の妻を亡くしている
唯一、アルガタの研究をしている組織アルカンジェリの一員
■リサ
森崎先生の妻
病で若い時に亡くなっている
アガルタ人
星を追う子どものあらすじとネタバレ
星を追う子どものあらすじをネタバレ全開で紹介していきます。
主人公のアスナはどんな女の子?
主人公のアスナは小さい頃に父親を亡くし、看護士の母と二人で暮らしています。母親は夜勤などで仕事が忙しく、アスナは買い出しや家事をし、一人で食事をすることが多いです。
忙しいアスナですが、家事の合間に勉強をしたりして成績はいつもクラスでトップで委員長もつとめている優等生です。
アスナには友達があまりいなくて、幼い頃父親と訪れていた秘密基地へ行き、父の形見の鉱石ラジオを聞くのを楽しみにしています。
クラスメイトには、親がいないから自由きままに暮らしていいよねー、がり勉だよね。などと陰口を言われています。
また、自分から友達を作ろうとしません。
唯一、一人のクラスメイトが仲良くなろうと近寄ってきますが、アスナは忙しいからと断ります。
そんな人を寄せ付けないアスナにいつも寄り添っているのがアスナにしかなつかない子猫のミミです。
秘密基地へ通うアスナ
学校から帰ると、家事で忙しいアスナですが、唯一の楽しみは山の上にある自分だけの秘密基地へ行って過ごすことです。
秘密基地は岩肌が突き出す崖で、岩の中が洞穴のようになっていて、ドアは木でできている。
アスナのお気に入りの場所は、その崖のような岩の上に座って父親の形見の鉱石を使ったラジオを聴くことです。
一度だけ、ラジオから歌声が聞こえたことがあって、その歌声をまた聞きたいアスナ。その歌声は今まで聞いたことがない、この世のものとは思えないもので、とても魅了されたからです。
アスナと少年の出会い
巨大なクマのような生き物が出たので山へは行かないように、と先生から注意がありましたが、アスナはまたあの不思議な歌声を聴きたくて秘密基地のある山奥へ出かけます。
早く秘密基地へ行きたくて鉄橋を走っていると、前方に巨大な生き物を発見!それはクマではなく、恐ろしいい怪物でした。
逃げようとしたアスナは、足をからませてしまい転んでしまいますが、危機一髪のところ、少年に助けられます。
命を狙われているのに、なぜか少年はその怪獣を殺そうとせず、反対に追い詰められますが、少年が首から下げていた石が突然光り出し、その怪獣は重いケガをして鉄橋から川へと落ちていきました。
列車が近づいてきて止まると、その少年はアスナを抱えて橋から川にダイブするのでした。
アスナが目覚めると、そこはいつも訪れるお気に入りの場所、秘密基地でした。
少年は、「この山へはもう近づかない方がいい」とアスナへ伝え二人は別れます。
少年との再会
翌日学校を休んだアスナは、少年からここへは来ない方がいいと言われましたが、少年に会いたい気持ちを胸に秘密基地へ向かいます。
アスナが来る気配を感じた少年は、来ない方がいいって言ったのに、と言いながらも、アスナが来ることを期待していました。
少年は来ない方がいいと言ったのに、とアスナに言いますが、自分が行きたいところにいく とアスナは言い返します。
なぜか少年の隣にはアスナにしかなついていなかった子猫のミミがいました。
少年は、シュンと名乗り、僕も同じ、自分も行きたいところへ行く、と言いました。
昨日、怪物と格闘してケガをしたシュンの腕がそのままだったことに気付いたアスナは、秘密基地から救急箱を取り出して手当てをしてあげます。
包帯がなかったため、制服のスカーフをシュンの腕に巻いてあげました。
少年は自分のことを語りはじめます。
アルガタという遠いところから来たとアスナに説明しましたが、アスナは遠い外国だと思います。アスナが後に訪れることになるアガルタは地下の世界です。
アスナは以前、一度だけラジオで聞いたことがある不思議な歌についてシュンに話し出します。
まるで誰かの心がそのまま音になったみたいな曲で、それを聴いたとき、嬉しさと悲しみが同時にやってきて私は一人じゃないと思えた。もう一度聴きたい。
と言うと、シュンは涙をこらえるようにうつむくのでした。
アスナが一度だけ聞いたその歌は、シュンがアルガタで歌った『最後の唄』だったのです。
シュンは病で死が近づいていることを知っていたので、地上へ来る前に最後の唄を歌っていたのです。
アガルタでは、ケツァルトル(神)が死んだ生き物たちを口の中からお腹におさめて、死期が近づくと世界に響く最後の歌を唄います。
その歌声を聞いた唯一の人がアスナだったことを知り、シュンの胸にこみあげてくるものがありうつむいたのでした。
その歌声は自分だとシュンは語りませんでした。
シュンは
地上でどうしても見たいものがあって、どうしても会いたかった人がいるんだ。
もう思い残すことはない。
とアスナに打ち明け微笑みました。
見たいものや会いたい人が誰なのかアスナは聞くことなく、
願いが叶ったんだね
とシュンに言い微笑みました。
アスナの父親はアルガタ人で、アルガタではシュンの先生だったのです。
幼い頃から両親を知らなかったシュンにとって、いろいろなことを教えてくれる先生はまるで父親のようだったのかもしれません。
ですが、アスナと話をしているうちに、会いたかったのはアスナだったのかもしれない、と思ったシュン・・・。
願いが叶ったシュンは、アスナに「祝福をあげる」と言い、彼女の額にキスをします。それは、アスナがこの世に生まれて来てくれたことへの感謝の意味でした。そのキスに驚いたアスナは、真っ赤になり「また明日」とだけ言い、鉱石ラジオを持ち逃げるように家に帰っていきました。
シュンの死
翌日、アスナは二人分のお弁当を持ってシュンに会いに秘密基地へ行きましたが、シュンは現れませんでした。帰宅すると、突然、母親がアスナを抱きしめます。アスナはシュンが亡くなったことを告げられるのでした。
亡くなった少年の遺体にアスナのスカーフが巻きつけられていました。願いがかなったシュンは思い残すことはないと自ら命を絶ったのでした。
ですが、アスナはシュンの死を受け入れることができず、人違いのはずだと思うと同時に、
それを願うのは、きっといけないことなんでしょうね。死ぬことは生きることの一部だと、お父さんは言ってたから、でも、わたし・・・
と言って泣き崩れたときの母の姿を思い出しました。
森崎先生との出会い
アスナのクラス担任の先生が産休をとるため、森崎先生が代任でやってきました。
先生は授業でイザナギとイザナミに触れ、日本の神話に出てくる黄泉の国(地下にあると信じられた死者の世界)のような地下世界は他にもあり、アルガタもその一つだと語りました。
地下世界には、死者をよみがえらせることもできる、と古来では考えられていたと述べました。
アルガタという言葉が出てきたことで、とても熱心に聞き入っていたアスナは、図書館で地下都市について調べると、先生にもっと話を聞くため、アパートをたずねます。
アスナの急な訪問に、机の引き出しにカギをかける先生。引き出しの中にはなぜかピストルが入っていました。
アルガタについて研究していると語った先生は、アルガタには門番のケツァルトルがいること。太古は地上にいて人類を導いていた神だったが、人類が成長し、神の導きが不要になったとき、一部の氏族を連れて地下に潜ったことを話してくれました。
もっと話を聞きたかったアスナでしたが、森崎先生から、「もう暗くなるので家に帰るように」と言われてしまうのでした。ですが、実際は、先生のところにどこからか連絡が入ってきたため、アスナを帰らせたのです。
クラヴィスを持ったアルガタ人を発見した連絡でした。
少年シンとの出会いからアルガタへ
先生の自宅を出たアスナは遭遇したミミの後を追ったところ、秘密基地の崖の上に青い光を見かけ、シュンが戻ってきたと思い急いで向かうと、崖の上に少年が立っていました。
やっぱりシュンだと思い名前を呼びますが、少年はシュンではないと言い返します。
その時、突然、ヘリコプターが表れたと同時に、背後からピストルを持った兵士のような大人の男たちに攻撃されてしまう二人。
シンはアスナを連れて故郷のアルガタを目指します。
二人の後を追ってくる兵士たち。
アルガタの入口で門番のケツァルトルとシンは戦いますが殺そうとはしません。倒したと思ったらしっぽで攻撃されて二人は危機一髪だったところ、追ってきた兵士が銃で門番を倒します。
命は救ってくれましたが、アスナがシンから預かったクラヴィスを渡すようにと要求されます。シンは「助けるから」とアスナにささやき、アスナは兵士の元へ行きました。
兵士の指示で壁にクラヴィスを近づけると壁が光をはなち扉が開き、その兵士は部下の2人の兵士を置き去りにし、アスナを連れて門の中へ入ると扉が閉まりはじめましたが、シンも滑り込みで入ることができました。
アスナを連れて門に入った兵士が顔を覆っていたマスクを外すと、なんと森崎先生でした。
アスナに預けていたクラヴィスを取り戻すと、シンはさらに地底にあるアルガタへ帰って行きました。
シンが地上へ行ったのは、兄のシュンが身に付けていたクラヴィスを取り戻すことだったので、これで自分の役目は終わったと思ったシンは疑うことなく二人を置いて一人でアルガタへ帰って行くのでした。
アルガタを目指すアスナと森崎先生
先生はアルガタを目指すためにやってきたので、一人で向かおうとしますが、迷ったアスナも一緒に行くと言い、二人は手を取り合ってアルガタへと向かいました。
アスナのリュックに隠れてついてきたミミが飛び出してきました。先生は邪魔になるかもしれないと言いますが、ミミのおかげでアルガタへ進むことができました。
また門番がいて先生とアスナは立ち止まりますが、ミミが門番に駆け寄ると門番は攻撃もせず、アスナたちを通してあげるのでした。
アスナと森崎先生のアルガタでの旅がはじまります。
空に浮かぶ船を見て二人は圧倒されます。先生は、神が乗る「シャクナ・ヴィマーナ」だと説明し、船が向かう方へ進もうと言います。
シンとの再会
シンの使命は兄のシュンが地上へ持ち出したクラヴィスを回収することだったので、無事にアルガタにある故郷、カナンの村へ持ち帰ることができてほっとしていましたが、
・ケツァルトルの視界を覗きこむこともできない
・地上人2人をアルガタへ入れてしまったこと
・アスナが持っていたクラヴィスに気付かなかったこと
を指摘され、兄には天分があったのに、と言われ、新たに使命を与えられます。
使命はクラヴィスを取り戻すこと、地上人の始末です。
馬に乗り、二人を探すシン。
二人が休んで火を起こした跡を見つけ、危険な場所へ進んでいることがわかり馬を走らせます。
先生と旅をするにつれ、アスナは先生のことを父親のように思いはじめます。
ある夜、寝ていたアスナは骸骨のような生き物、夷族(いぞく)に連れ去られてしまい、目覚めた場所は崩れ果てた塔の中、小さな女の子と出会います。
女の子はアスナの胸に飛び込んできて泣きじゃくります。
日が落ちてくると、夷族(いぞく)が地面からぬゅーとあらわれてきたので、アスナは身の危険を感じ、また、この生き物が光が苦手なことに気づき、この建物から逃げようとしますが、足首をつかまれそうになりました。
アスナのところへ駆けつけ、夷族(いぞく)から二人を助け出しますが、逃げ場を失った3人は川へ飛び込みます。
アスナは岩につかまることはできましたが、女の子を腕に抱えたシンは川にのみ込まれてしまいました。
まだ追ってくる夷族(いぞく)は水も苦手なため、水に触れないようにアスナに近づいてきます。アスナはシンと女の子を助けなくちゃと川にもぐりましたが、二人と離ればなれになってしまいます。
倒れているアスナを先生が見つけ無事に合流することができました。
アスナは重傷をおったシンを助け、一緒に旅をつづけます。
やがて、はじめて人が住んでいそうな村を発見しましたが、アスナたちが村に近づくにつれ、村人たちは不吉な予感を抱きます。
村から出てきたのは兵士たちでした。
その村は女の子の故郷で、母親を失ってから言葉をなくし、一昨日から行方不明だったのです。女の子を無事に届けてくれたことに感謝はされましたが、地上人を嫌う村人たちはアスナたちを村へ入れようとしません。
そこへ女の子の祖父があらわれ、1泊だけ自宅に泊めてくれることになりました。
シンは傷の手当てをしてもらい、アスナは入浴をされてもらいお料理の手伝いをし、先生、老人、女の子と共に食事をしました。
先生が死者を蘇らせることについて老人へ質問すると、二人は意見の違いから場の雰囲気が悪くなり、老人から少年の様子を見に行ってほしいと言われアスナがシンのところへ行くと、なぜ助けたと聞くシンに、アスナはシンも助けてくれた、と言いますが、シンは兄のしりぬぐいをしているだけ、アスナたちはここにいてはいけない、地上で殺すべきだったなどと冷たい言葉をかけられて、さっきまで笑顔だったアスナは落ち込みます。
老人から孫のマナと一緒に寝てほしいと言われ、マナを抱きながらベットに横になっていると、ミミがアスナの頬にすり寄ってきて、アスナの頬に涙がこぼれました。
ミミとのお別れ
村人に歓迎されない二人は朝早く村を出ます。
老人が用意してくれた小さな船に乗り込んだとき、アスナはミミに一緒にくるように呼びかけますがミミはマナの元に戻ってしまいました。
いつもアスナのそばにいたミミとは様子がちがっていました。
実は、ミミは猫ではなかったのです。
昨夜、料理の手伝いをしているとき、老人から、ミミは猫ではなく『やどりこ』だと説明されていました。
老人の説明によると、やどりことは、
神の子が宿った動物のことで、人とともに育ち、役目をはたした後はケツァルトルの一部になり、いつまでも生きつづける。
説明を聞いたアスナは冗談を言う余裕があるほど信じようとしませんでした。
自分のところへ来ないミミをよろしくとマナに叫びます。
ミミはやっぱり『やどりこ』だった
二人を見送った後、自宅に戻るとミミが亡くなり、マナは大泣きします。
老人、シン、マナはミミを連れて草原に行くと、ケツァルトルが歩いてやってきました。
マナがミミを差し出すと、ケツァルトルがミミをのみ込み、ケツァルトルの一部になりました。
ケツァルトルの足に抱きつき泣くミミ。
フィニス・テラにある生死の門を目指す
二人が村を去った後、村の兵士たちが馬で後を追います。
シンたちの横を通り過ぎた時、兵士たちが腰にさしていた剣を見て、アスナたちを殺しにいくと察知したシンは馬に乗り後を追います。
船を降りて歩いている二人は兵士たちに追いつかれたため、先生が銃を向けたところ、背後からシンの剣が飛んできて銃が飛ばされました。
シンは二人に先へ進むように言い、一人で闘います。
ケツァルトルと遭遇したときもそうでしたが、シンもシュンも命を狙ってくる相手を殺そうとはしません。
シンのおかげで二人は生死の門を目指し歩き続け、フィニス・テラにたどり着きました。
生死の門は、フィニス・テラの底深くにあり、たどり着くには素手で崖を降りていかなければいけません。
先生に身を軽くするように言われたアスナはフィニス・テラの淵から下をのぞきこんだとき、自分にはムリだと言いますが、先生の後を追って崖を降り始めました。
その時、下から突風にあおられ、恐怖におびえるアスナを見て、先生はアスナを崖の上へ連れて行き、アスナの持っているクラヴィスと自分が持っている銃を交換し、夷族(いぞく)につかまらないように川を下り、お世話になった老人の家を目指すように言いました。
先生は崖を降りて生死の門を目指します。
その頃、大人の兵士とっ闘っていたシンは倒れてしまいますが、クラヴィスがフィニス・テラに落ちていくことを感知した兵士たちは、地上人は二度と崖の下から戻ることはできないからと故郷へ戻っていきました。
その時シンに、アガルタにも地上人にもどっちつかずだとだけ言い立ち去りました。
シュンの死を受け入れたアスナ
老人の家を目指しなさいと言われたアスナですが、座り込んでしまいやがて日が暮れ出し日影から夷族(いぞく)が姿を現し出したので、やっと川に入り来た道を戻り始めました。
川の周辺には夷族(いぞく)がたくさんいて、アスナを狙い追ってきます。
疲れ果てたアスナはまた考え込んでしまい、気がつくと川の水が引き、夷族(いぞく)につかまってしまいます。
自分はなぜアガルタへ来たのだろう?と考えていたアスナは、淋しかったからだと気づきました。
夷族(いぞく)に首をつかまれたアスナは銃を乱射しますが、地面にあたるばかりでタマが切れます。
銃声を聞いたシンはアスナのところへ向かいます。
アスナの頭に、かつて人と触れ合ったシーンが次々と駆け巡ってきました。
シュンが亡くなったことを知らされる前、母親に抱きしめられたこと、学校でクラスメイトに一緒に帰ろうと声をかけられたこと、アスナは「生きなきゃ」とかすかにつぶやきましたが、力尽きてしまいます。
夷族(いぞく)がアスナを食べようと大きく口を開けた瞬間、シンが到着し救い出してくれました。
すぐに夜が明け、夷族(いぞく)は土の中へ姿を消しました。
アスナとシンは隣同士に座ると、アスナはシンに「目の色がちがう」と言い、シンは目の色も違うし、背もシュンの方が高い、と言います。
アスナはシンはシュンでないことを確信すると泣き出し、シンもつられて泣き、二人で大泣きするのでした。
泣いていると、空にシャクナ・ヴィマーナが表れ、先生のいるフィニス・テラに向かっていることを知り、二人は後を追います。
先生は、シャクナ・ヴィマーナは「神の乗る舟」だと教えてくれましたが、シンはアガルタでは「命を運び去る舟」だと言われているといい、先生のことが心配になったアスナと共にシンも先生の元へ向かいます。
フィニス・テラに着くと、死期が近づいた、ミミが体の一部になったケツァルトルがやってきました。
アスナはケツァルトルが自分たちを下まで連れて行ってくれると言っているといい、二人をのみ込み崖へ飛び込むと、二人は姿を現し無事に到着しました。
生死の門での出来事
二人がたどり着く前に、すでにシャクナ・ヴィマーナは到着済で、船から人型に変わっていて、その姿は、全身目でした。
先生が妻のリサをよみがえらせてほしいとお願いすると、リサの魂が表れましたが、神は魂を入れる肉体の器が必要だと言います。
その頃、アスナとシンは生死の門へたどり着くと、上空は星空で、シンは生まれて始めて星を見ました。
アスナが先生のところへ駆け寄ると、「君にこの場に現れてほしくなかった」と言った瞬間、アスナの肉体にリサの魂が入っていき、アスナは意識を失いかけます。シンはしっかりしろとアスナを起こそうとしますが、外見はまだアスナですが、「あなた、どこにいるの?」とつぶやいた声はリサでした。
リサの声を聞いた先生はアスナへ駆け寄ろうとすると、神に右目を奪われます。アスナの肉体だけでは足りず、右目を代償として奪われたのです。
アスナのところへ歩いていくとリサに変わり、先生はリサの手を握り締めました。
シンはアスナを呼び戻すために、クラヴィスを剣で割ろうとします。
その様子をみたリサは、「私、あの子知ってるわ」とつぶやくと、胸が苦しくなってきました。
先生がクラヴィスを割ろうとするシンの首へナイフを向けると、シンは「生きている者が大事だ!」と言い放ちます。
アスナの体がリサになっていたとき、意識を失っていたアスナは死後の世界でシュンとミミと一緒にいましたが、シュンとミミに別れを告げてシンのいる世界へ戻ることを選びます。
シンは喉にナイフを突きつけられても、力を振り絞って剣をクラヴィスへ突き刺すと、ついにクラヴィスは割れパワーを失いました。
先生が消えかけていくリサを抱きしめると、リサは「幸せを過ごして・・・」とささやきます。
リサは消え、体がアスナに戻ると、シャクナ・ヴィマーナはまた船の形にもどり、空高く飛んでいきました。
泣きながら「殺せ、殺してくれ」と言う先生に、シンは、
喪失を抱えてなお生きろ、と声が聞えた。お前にも聞こえたはずだ。それが、人に与えられた呪だ。
と言い、アスナは起き上がり先生の首に手を回し
でも、それは、祝福でもあるんだと思う。
と言いました。
3人はアガルタの出口まで来ると、アスナは二人にお別れをし地上へ戻る道、ヴィータクアへ入っていき、シンと先生はアガルタに残りました。
それから約半年が過ぎ、そこには朝食を作っている母の姿と卒業式に出席するため家を出るアスナがいました。その顔は満面の笑顔でした。
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